診療内容・特長
泌尿器科はその名前が示しているように、内分泌臓器、尿路臓器を扱う診療科です。副腎、腎、尿管、膀胱、前立腺(男性)、尿道、精巣が主な対象臓器となります。対象疾患は、悪性腫瘍、尿路感染症、尿路結石、排尿障害、内分泌疾患など多岐に渡っています。これら疾患の診断から治療までを一貫して行っています。また、各尿路癌の診断、治療(手術、化学療法)を積極的におこなっています。
ただし、対外衝撃波による治療が必要な尿路結石、女性泌尿器、小児泌尿器についての治療は行っておりません。
- 当院の特徴
【光線力学診断(PDD)併用 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)】
筋層非浸潤性膀胱癌に対しては経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)が標準的な治療法です。通常は白色光を用いて手術を行いますが、2017年より、5-ALAを用いた光線力学診断(PDD)併用のTURBTが保険診療として認可されました。
5-ALAは生体のエネルギー産生に関与する天然アミノ酸です。この5-ALAは正常な細胞に比べてがん細胞に多く集まり、青色光を照射されると赤色に発色
します。TURBTを行うときにあらかじめ5-ALAを内服しておき、蛍光膀胱鏡を使用し青色光を照射すると、がんの部位が赤く発色し、検出率が上昇します。このことにより膀胱内再発率が減少すると報告されています。
当科では主に膀胱癌が多発している症例や、再発を繰り返す症例にPDD併用TURBTを行っています。
【腹腔鏡手術】
- 腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)
前立腺癌に対する根治治療としては手術療法と放射線治療があります。
手術療法には①開腹手術 ②腹腔鏡下前立腺全摘除術 ③ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術の3つの方法があります。
当科では2018年より腹腔鏡下前立腺全摘除術を行っています。開腹手術と比較して明らかに出血量が少なく、術後の疼痛も軽度で低侵襲であるなどの利点があります。ただし、ロボット手術と比べてリンパ節郭清の範囲に限りがあるため、超高リスクの前立腺癌に対してはロボット手術をお勧めしています。
- 腹腔鏡下腎摘除術
腎細胞がんに対する治療は手術療法が標準的です。
腹部に小さな穴を4個あけて腎臓を遊離し、最後に一か所のみ傷を大きくして腎臓を摘出します。非常に大きな腎細胞がん(血管浸潤や周囲臓器への浸潤のあるがん)に対しては開腹手術で腎臓を摘出します。
一方、腎機能の低下した症例や手術困難症例に対しては凍結療法をお勧めしています。
- 腹腔鏡下腎部分切除術
小径腎がん(サイズの小さながん)に対しては部分切除術を行っています。前立腺癌と同様、出血量が少なく低侵襲であることが本治療の大きな特徴です。
腎機能の低下した症例や手術困難症例に対しては凍結療法をお勧めしています。
- 腹腔鏡下腎尿管全摘除術
腎盂癌、尿管癌に対する根治治療は手術療法が標準治療となります。上腹部に4か所穴をあけて腎臓、尿管を遊離します。最終的には下腹部に5-6cm程度切開して、そこから標本を摘出します。大きく切開する手術と比較して、明らかに出血量が少なく低侵襲であることが大きな特徴です。
- 一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業への参加について
当科は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当科が患者さんに最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。 何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
- NCDに登録する情報の内容
2018年4月1日以降、当科で行われた手術と治療に関する情報、手術や治療の効果やリスクを検証するための情報(年齢や身長、体重など)を登録します。 NCDに患者さんのお名前を登録することはなく、氏名とは関係のないIDを用いて登録します。IDと患者さんを結びつける対応表は当科で厳重に管理し、NCDには提供しません。
- 登録する情報の管理・結果の公表
登録する情報は、それ自体で患者さん個人を容易に特定することはできないものですが、患者さんに関わる重要な情報ですので厳重に管理いたします。
当科及びNCDでは登録する情報の管理にあたって、情報の取り扱いや安全管理に関する法令や取り決め(「個人情報の保護に関する法律」、「人を対象とした医学系研究に関する倫理指針」、 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等)を遵守しています。
データの公表にあたっては、NCDが承認した情報のみが集計データとして公表されます。登録するデータがどなたのものであるか特定されることはありません。
- 登録の拒否や登録情報の確認
データを登録されたくない場合は、登録を拒否して頂くことができます。当科のスタッフにお伝えください。
また、登録されたご自身のデータの閲覧や削除を希望される場合も、当科のスタッフにお知らせください。 なお、登録を拒否されたり、閲覧・修正を希望されたりすることで、日常の診療等において患者さんが不利益を被ることは一切ございません。
- NCD担当者の訪問による登録データ確認への協力
当科からNCDへ登録した情報が正しいかどうかを確認するため、NCDの担当者が患者さんのカルテや診療記録を閲覧することがあります。
当科がこの調査に協力する際は、NCDの担当者と守秘義務に関する取り決めを結び、患者さんとIDの対応表や氏名など患者さんを特定する情報を院外へ持ち出したり、口外したりすることは禁じます。
本事業への参加に関してご質問がある場合は、当科のスタッフにお伝えください。また、より詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。
一般社団法人National Clinical Database(NCD)ホームページ (http://www.ncd.or.jp)
- オプトアウト
通常、臨床研究は文書もしくは口頭で説明を行い、患者さんからの同意(インフォームド・コンセント)を得て行われます。同意には文書による同意と口頭による同意があります。
臨床研究のうち観察研究(たとえば患者さんへの侵襲や介入がなく、人体から取得された試料を用いず、診療情報などの情報のみを用いて行う研究)については、国が定めた倫理指針に基づき、 必ずしも対象となる患者さんから直接同意を得るとはかぎりませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知又は公開し、さらに可能な限り拒否の機会を保障することが必要とされています。 このような手法を「オプトアウト」といいます。研究のために自分のデータが使用されることを望まれない方は、担当医までお知らせください。