安全、安心、正確かつ快適な検査と治療を
中央放射線室では各種の放射線医療機器を用い、診療放射線技師、放射線科医師、看護師など多職種が協力し合い、画像診断と放射線治療をチーム医療として行っています。患者様にとって安全、安心、正確かつ快適な検査と治療を目指しています。
放射線診療についての質問、疑問にお答えするFAQも設けましたので、参考にしていただければ幸いです。
診察(各科外来、入院)
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⑦放射線受付
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各撮影室(一般撮影室①~⑤、透視撮影室①~③、CT室、MRI室、骨塩定量室、RI室)
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診察・治療(各科外来)
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会計
最初に⑦放射線科受付で受付を済ませてから検査に入ります。その際に本人確認のため診察券の提示、お名前を確認させていただきます。
一般撮影用X線装置を使い、胸部や腹部、整形領域の骨などを撮影します。撮影室は第1撮影室、第2撮影室、第5撮影室の3室があり、撮影部位や緊急対応などの撮影内容により撮影室を分け、待ち時間の短縮に努めています。 立位撮影、臥位撮影には、専用のフラットパネル方式撮影台を使用し、画質の向上と被ばく線量低減を図っています。
一般撮影室 富士フイルム:CALNEO-U、MT
歯科撮影室
歯科用断層撮影装置を用い、歯のパントモグラフィー撮影(パントモ撮影)を行います。 パントモ撮影は、装置が顔の周りを回りながら撮影を行い、一枚の画像に全ての歯を撮影することができます。
歯科撮影室 朝日レントゲン工業:AUTOⅢN
乳房のX線撮影をマンモグラフィといいます。乳房は柔らかい組織でできているため、専用のエックス線装置を使って撮影します。手で触ってもわからないような小さな腫瘤や石灰化を見ることができます。現在は乳がんの精密検査の一つとして用いられており、検診にも用いられています。
マンモグラフィ検査は、左右片方ずつ2方向、乳房をしっかり広げ、圧迫板で押さえて撮影します。マンモグラフィ検査において、乳房を圧迫することは必要不可欠で、乳房を圧迫することでコントラストと解像度の向上、ボケの減少、被ばく線量の低減効果があります。
当院では、優しく乳房全体にフィットすることで圧力を分散させる圧迫板を導入しており、乳房圧迫時の痛みの軽減が図られています。
当院では検診マンモグラフィ撮影認定資格を有する女性技師が検査を担当しますので、安心して検査をお受け下さい。
下記に当てはまる方は必ずお申し出ください。
・妊娠中、または妊娠の可能性がある方
・乳房豊胸手術をしている方
・ペースメーカーを装着している方
・VPシャントを挿入している方
その他、気になることがございましたら担当医師、または担当診療放射線技師にお尋ねください。
当院は、「トモシンセシス機能(3D画像)搭載デジタルマンモグラフィシステム」(富士フイルム: AMULET Innovality)を導入しています。
通常のマンモグラフィ画像(2D画像)では、乳腺の重なりにより病気が見えにくく、診断が難しい場合もあります。3D画像では多方向から連続して角度を変え撮影することで、細かく1mmずつ見ることが出来ます。
「高画質」と「低線量」を両立させたシステムにより、2D画像と3D画像を組み合わせることで(検査時間は10分程度)、診断精度の向上が図られています。
乳房X線撮影装置 富士フイルム:AMULET Innovality
最新のフラットパネル搭載移動型X線撮影装置を2014年3月に3台導入しました。この装置の特徴は、病室等で撮影する場合、数秒後に画像が確認できます。従来に比べ格段にはやくきれいな画像を低線量で提供できます。
当院は、災害拠点支援病院でもあり、バッテリー搭載のこの装置は災害時に活躍が期待されます。
移動型X線撮影装置
富士フィルムメディカル社 CALNEO Go
第1X線TV室、第3X線TV室、内視鏡X線TV室があります。X線透視撮影装置(X線TV装置)を使い、消化器系、外科系、泌尿器系、整形領域などでX線透視をしながら撮影や治療、内視鏡検査などが行われます。消化管検査や尿路系検査では、各種の造影剤を用いた造影検査を行うも場合もあります。
検査は多岐に及びますので、検査内容や検査時間など検査の詳細に関しては、各診療科で説明を受けてください。
フラットパネル方式の血管撮影装置を使い、身体のあらゆる部位の血管造影検査や血管内治療を行います。デジタル処理技術により血管だけを描出する機能(DSA)や、血管を3次元で描出する機能(回転3D撮影)なども用います。
1階の血管撮影室では主に頭部、腹部、骨盤部や下肢領域など。3階の血管撮影室(心カテ室)では心臓や心血管(冠状動脈)の撮影、治療を行います。
検査の方法は、前腕や大腿などの血管からカテーテル(中空の柔らかい管)を入れ、目的の血管に造影剤を流して行います。また、その管から直接患部に薬剤を注入する治療や、バルーンと呼ばれる風船、またはステントと呼ばれる網目状の金属製の筒を使い、細くなった血管を広げる治療などを行います。
検査内容や治療時間など検査の詳細に関しては、各診療科で説明を受けてください。
血管撮影装置
CTはComputed Tomography (コンピュータ断層撮影法)の略語です。体の周りからX線をあて、透過したX線を検出器で収集してコンピュータ処理を行い、人体の輪切りの画像を作る検査です。 放射線科では2台のCT装置で検査を行っています。東芝メディカル:Aquillon One(320列CT)は、1回転の撮影可能範囲が広く(最大で16cm)、回転時間が短い(最短0.275秒)という特長をもった装置です。この性能により、体動のある方や小児の検査において、撮影時間の短縮や被ばく線量低減などが図られ、心臓の検査(冠状動脈検査)では心臓の動きが速い方や不整脈のある方でも検査可能となりました。また、脳血管の動脈瘤評価などにおいて、血行動態を3次元で表示する3D動画も提供可能な装置となっています。
検査には造影剤を使用する造影検査、使用しない単純検査という2種類の検査があります。
検査時間は単純検査では5分、造影検査は15分程度です。造影検査では、問診票の記載をお願いしています。必要事項を記入のうえ検査当日持参して頂きます。
第1CT室は、主に単純検査、緊急検査、放射線治療計画に使用しています。
第2CT室は、主に造影検査、小児検査、特殊検査に使用しています。
検査に影響のある下記の様な物は外して頂くことがあります。
可能であれば、検査当日は検査に影響のない服装で来院してください。
MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略語です。磁石と電波を使い身体から出てくる異なった組織固有の信号を画像にする検査です。 一度の検査で色々な方向の断面画像を得ることができ、病変と正常組織との区別やその特徴を知ることができます。造影剤を使わずに血管を描出 (MRA)して、血管狭窄や動脈瘤などを早期に見つけるなど、色々な病気の早期発見や診断に有効な検査です。
特別な撮影を除いて検査台に上向きの楽な姿勢で寝ていただきます。検査時間は20~40分かかりますが、体を動かさないようにしてください。 検査はモニターカメラで患者様の様子を確認しながら進めていきます。また、検査室にはインタ-フォン、呼び出しブザーが内蔵されていますので、検査中も検査スタッフに連絡が可能です。
当院のMRI装置は静音機能を備えており、従来の装置より音は静かになりましたが、検査中は木をたたく様な音がうるさく感じるかもしれません。しばらくご辛抱ください。検査によっては、約10~15mlと少量の造影剤を使用する造影検査を行う場合もあります。乳幼児の場合は、眠っていただき検査を行いますので主治医にご相談ください。
MRI検査は日常に体験しない強力な磁石を使います。検査画像への影響と事故や故障の原因となりますので、下記の物は検査を受ける前に取り外していただきます。
携帯電話、時計、鍵、メガネ、コンタクトレンズ、ヘアピン、アクセサリー類などの金属製品、キャッシュカード、クレジットカードなどの磁気カード、義歯、補聴器、エレキバン、カイロ、電導性のある金属を含む貼付剤(ニトロダーム、ニコチネル等) |
下記に該当する方は主治医または検査担当者にお申し出ください。
当院では条件付きMRI対応ペースメーカーのMRI検査が可能です。
これまでは、ペースメーカーを植込まれている患者様はMRI検査を受けることができませんでした。平成24年10月以降に「条件付きMRI対応ペースメーカー」を植込まれた患者様はMRI検査が可能になりました。ただし、検査を実施する前にペースメーカーの設定の変更が必要です。詳しくは主治医にお問い合わせください。
MRI検査はすべて予約検査となっていますが、救急や入院中の急を要する患者様にも対応しており、検査当日の予約時間が多少前後することもありますのでご了承ください。
骨密度測定は、骨の中の骨塩量(骨密度)を測定する検査で、各種の測定方法があり、当センターではDXA法(デキサ法)と言われる精度の高い方法で測定を行っています。これは、エネルギーの低い2種類のX線を使い、骨と他の組織の吸収率差で骨密度を計測するものです。
測定は検査ベットに仰向けになり、必要に応じて両手を挙上した状態で、主に腰椎、大腿骨頚部の測定を行います。検査時間は10分程度です。
測定結果を参考にして骨粗鬆症の診断や治療を進めていきます。骨密度測定は骨の健康状態を知る重要な手がかりです。特に女性は症状がなくても、40歳以上になったら定期的に骨密度を測定することをお勧めします。
アイソトープ検査(核医学検査、RI検査)は、放射性同位元素(RI)を含んだ薬(アイソトープ医薬品)を体内に投与し(静脈から注射、カプセルを飲む、口から吸引するなど)、臓器の形や機能などを調べる画像診断法です。
アイソトープ医薬品は検査する部位や目的ごとに用意され、投与されると脳や心臓、骨、肝臓など特定の臓器や組織に集まる性質があります。このアイソトープ医薬品から出る微量の放射線(ガンマ線)を専用のカメラ(核医学画像診断装置)を使って画像化や解析を行います。
検査に使用する放射性同位元素は極めて微量で、半減期(放射能量が半分になる時間)が非常に短く、短時間で尿などとして体外に排出されますので、放射線による身体への影響はほとんどありません。
検査する内容によって、使用するアイソトープ医薬品や投与から検査までの時間、前処置、注意事項などが異なりますが、検査は15分から1時間程度ベッドの上で寝て頂くだけです。(負荷心筋シンチのように、自転車こぎの運動をして頂く場合があります。)
当センターの検査装置は、SPECT/CT装置という吸収補正用CT機能を搭載した装置で、検査画像の画質向上が図られています。また、先進のソフトウェアにより高画質を保ちながら撮影時間の短縮が可能な装置で、検査をうける患者様の負担を軽減する工夫がされています。
放射線治療は、手術と同じようにがんの代表的な局所療法の1つで、放射線を照射してがん細胞の増殖を抑え、消滅させてしまおうというものです。これは、照射によってがん細胞核の中の重要な遺伝子であるDNAが傷ついて、多くのがん細胞が死滅するからです。このとき、正常な細胞も障害を受けますがこの障害をできるだけ少なくし、がん細胞だけに大きな効果を発揮するように、照射方法を工夫して治療を行っています。
放射線治療は、手術のようにからだを傷つけたり、治療中、痛みを感じるようなことはありません。
放射線治療医が診察し、種々の検査結果とあわせて治療方針(身体のどの部位に、どのくらいの放射線を照射するのか)を決定します。病気の種類や身体の状態などを考慮して決定します。
実際に放射線を照射する前に、最適な体位、範囲や方向を決めるため、治療部位のCT検査やX線写真を撮らせていただきます。また治療部位には消えにくいペンでしるしを付けさせていただきます。撮影画像より放射線治療医がその疾患特有の進展形式などを考慮して治療する部位を決め、できるだけ副作用を抑えるような放射線照射の方向、範囲などを決定します。
治療は月曜日から金曜日までの週5日で照射を行います。計画のときと同じ状態で治療台に上がっていただき、位置照合などを行いながら治療します。毎日の治療にかかる時間は、治療室に入室して10分ほどで、実際に放射線が照射されているのは数十秒程度です。 また、治療室内では患者様は一人になりますが、治療中の様子は技師がテレビモニターで見ていますので安心してください。
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患者様は放射線治療開始後、放射線治療医による定期診察が始まります。気になることがあればいつでもスタッフに声をかけてください。
Q1:この前X線検査を受けたばかりですが大丈夫ですか?
入院中ほとんど毎日、撮影しているが大丈夫ですか?
Q2:造影剤とは何ですか?
Q3:検査着の意味は何ですか?
Q4:一般撮影とは何ですか?
Q6:病室で撮影している時、病室から出たほうがよいのですか?
Q1:この前X線検査を受けたばかりですが大丈夫ですか?
A1:おそらくこの質問が一番多くて放射線科で聞きたいことはこれに尽きるのだろうと思います。この質問に答えるのは実は簡単ではありません。というのも私たち日本人は唯一の被爆国民でありながら放射線についてあまりにも知らなさ過ぎるのです。事実、「何を心配されていますか?」と伺うと何か分からないけど怖い。義務教育の中で原爆の悲惨さ、恐ろしさばかりで放射線については教えられていないのが現状です。事実、私も大学で専門としたから知っているだけに過ぎませんが…。放射線と放射能とでは意味合いが違います。このあたりは新聞、ニュースでも間違った報道がされていたりしますので一般の方々が間違った知識を持ってしまうのも仕方ないことかもしれません。そこで、この場を借りてなるだけ分かりやすく説明させて頂きます。その前に、放射線を浴びたほうが良いのか、浴びないほうが良いのか?この質問は簡単で浴びないに越したことはないのです。
それではなぜ私は浴びなければいけないのか?それはあなたにとって必要で、重要な検査であるからです。検査によって早期に病気が発見でき治療できればあなたにとって利益が大きいからです。もし病気がなければそれはそれで大変な病気かもしれないと悩む必要もなくなるのです。どちらも検査をしなければ分からない結果です。当たり前のことなのですが放射線の影響を心配するあまりこのことを忘れてしまっているのです。医師または診療放射線技師が人体に放射線を照射できるのは患者様の利益が損失を上回るときだけなのです。損失とはこの場合、放射線の人体への影響を指します。
それでは本題に入ります。では、放射線を浴びたら人体にどんな影響があるのでしょうか?放射線の影響は大きく分けて身体的影響と遺伝的影響に分けられます。さらに身体的影響は急性影響と晩発影響に分けられます。また、放射線防護の観点から確定的影響と確率的影響に分けます。確定的影響とはすべての身体的影響をいい、確率的影響とは発ガン、遺伝的影響を言います。確定的影響にはしきい値(影響が発生する最低の線量)が存在し、確率的影響にはしきい値が存在せずどんなに低い線量においても影響が出ると考えるものです。
実は、ここが難しいところで実際、広島、長崎の原爆被爆者の疫学調査で、0.2Gy以下の被爆で統計的に有意な白血病の増加は認められていないのです。つまり、0.2Gy以下では日常生活の中にある発ガン物質のほうが大きな影響を持ってくるのです。ちなみに人の発ガン因子は食物・栄養35%、タバコ30%、感染および不明13%、生殖および性習慣7%、アルコール3%、放射線・日光3%、環境汚染2%、医薬品・医療1%、食物添加物1%、工業生産物1%というものです。(リチャード・ドルらによる見積もり、1981)
遺伝的影響は放射線を受けた本人ではなく、その子孫に現れる影響です。したがって、子供を作る可能性のない方は心配する必要はありません。
確定的影響のしきい値は脱毛3Gy、皮膚の紅斑3Gy、皮膚の潰瘍10Gy、白内障2Gy、胎児奇形0.25Gy、 永久不妊6Gy、いずれも放射線が直接あたった場所で起きる影響です。胎児の影響は放射線を受ける時期にも影響します。
ここまでの知識を踏まえて考えてみてください。当センターでの胸部正面一枚の皮膚線量は0.0003Gyです。ちょっと乱暴ですが胸部撮影で放射線があたった背中の部分の脱毛に必要な枚数は10000枚ということになります。
Q2:造影剤とは何ですか?
A2:大きく分けて2種類あります。口から飲む、お尻から入れる消化器系の物と、注射して血液と一緒に流す血管系の物。どちらも目的の臓器、病気を目立たせるために使います。造影剤は全ての人に使用できるわけではなく、医薬品のため副作用を起こす方もみえます。その危険性を事前に知るため問診票を記載し、検査当日持参していただいてます。
Q3:検査着の意味は何ですか?
A3:患者様の羞恥心を軽減するため以外に意味はありません。何も身に着けずに検査をするのが撮影上一番よいのです。機械がよくなったので最近は服を脱がなくても検査できるようになったとお考えの方もみえるようですが機械がよくなればよくなるほど鋭敏にコントラストが付くようになるので読影の妨げになるようなものは無い方がよいのです。検査着の下はできるだけ何も身に着けない、もしくは薄着でお願いします。
Q4:一般撮影とは何ですか?
A4:エックス線撮影のことをいいます。俗にレントゲンと呼ばれています、レントゲンとは人の名前であり本来写真を意味するものではありません。つまり、レントゲンを撮ると言う言い方は鈴木を撮る、山本を撮ると言っているようなものなのです。ちなみにレントゲン技師はこの世に一度も存在していない職業です。正しくは診療放射線技師です。レントゲンが写真を意味するのは世界でも日本ぐらいです。レントゲン博士は初のノーベル賞受賞者です。その博士も私が発見したのはXrayであり、レントゲンではないと好まなかったようです。
A5:Mが付く付かないで中身は大違い。MRIはMagnetic Resonance Imagingであり、RIはRadio Isotopeというものです。大きな違いはMRIは磁気と電波により撮像し、RIはごく微量の放射線(ガンマ線)により撮像します。
A6:移動X線装置による撮影の場合、撮影される患者様から2m以上はなれた位置にいれば、1撮影あたりの線量は0.0000001Gy以下であり、被曝そのものが問題になる線量ではありません。つまり、2m以上距離が取れれば病室から出る必要はありません。
A7:
あなたと患者のための 放射線防護Q&A | 草間朋子著 医療科学社 |
放射線防護マニュアル | 草間朋子著 日本医事新報社 |
放射線取扱の基礎 | 日本アイソトープ協会 丸善 |
新・放射線の人体への影響 | 日本アイソトープ協会 丸善 |
インナービジョン 放射線防護の常識・非常識 2003:10~2004:12 |
医療科学社 |
日本放射線技術学会雑誌 放射線防護論文特集2004:12 |
日本放射線技術学会 |
ICRP Publication60, Publication74 | 日本アイソトープ協会 丸善 |